14世紀後半、phenicienes(複数形)は「古代フェニキアの住民やその土地の人々」を指し、シリア沿岸に位置していました。この言葉は古フランス語のphenicienに由来するか、ラテン語のPhoenice, Phoenicesから派生したもので、Persianなどのモデルに基づいています。ラテン語の語源はギリシャ語のPhoinike「フェニキア」(その植民地であるカルタゴを含む)で、おそらく前ギリシャ語に起源を持つとされています[Beekes]。
phoenixと比較すると、こちらは関連性が薄いようです。ギリシャ語のphoinixは「紫色」を意味し、おそらく「フェニキアの色」を指していたのかもしれません。なぜなら、ギリシャ人はフェニキア人から紫の染料を手に入れていたからです。しかし、この解釈については学者たちの間で意見が分かれています(ギリシャ語にはphoinos「赤、血のような赤」もあり、その語源は不明です)。また、ギリシャ語のphoinixは「ヤシの木」、特に「デーツ」(ナツメヤシの実)を指すこともあり、おそらく「フェニキアの木」を意味していたと考えられます。なぜなら、ヤシの木は東方に起源を持ち、ギリシャ人はフェニキア人と交易を行いデーツを手に入れていたからです。この言葉は弦楽器の名前にも使われたようで、こちらもフェニキア起源を示唆している可能性があります。
この言葉がフェニキア人が話していたセム語を指すようになったのは1836年からで、形容詞として使われるようになったのは1600年頃からです。