「導く」という意味の古英語では lædan(他動詞)という言葉が使われていました。これは「自分について行かせる」「先頭を行進する」「ガイドとして前を歩く」「同行して道を示す」「続けて行う」「芽を出す、実を結ぶ」「(人生を)送る」といった意味があり、もともとは liðan(「旅をする」という意味の動詞)の使役形でした。さらに遡ると、原始ゲルマン語の *laidjanan(古ザクセン語の lithan、古ノルド語の liða「行く」、古高ドイツ語の ga-lidan「旅をする」、ゴシック語の ga-leiþan「行く」の語源)に由来し、印欧語族の *leit-(2)「出発する」という意味から派生したものです。
道路を指してこの言葉が使われるようになったのは1200年頃。14世紀後半には「先頭に立つ」という意味が生まれました。1570年代には「リーダーの役割を果たす」という自動詞的な使い方も登場し、1670年代にはカードゲームで「ラウンドやトリックを始める」という意味が加わりました。1849年からは「音楽や祈りの演奏で指揮を取る」という意味でも使われるようになりました。関連する言葉としては、Led(過去形)や leading(現在分詞)があります。
ボクシング用語で「自分を危険にさらす」という意味の lead with one's chin(1946年)は、相手に隙を見せることを指します。「前進を促す」という意味の lead on(1590年代)は、人を引き込むことを表しています。また、比喩的に「説得で導く」という意味の lead (someone) by the nose(1580年代)は、家畜を引き連れる様子から来ており、以前は lead by the sleeve(「袖を引いて導く」)という表現も使われていました(15世紀初期)。さらに、「面倒な行動を強いる」という意味の lead (someone) a dance(1520年代)は、相手を翻弄する様子を表現したものです。