14世紀初頭には「平らで滑らか、艶のある・毛のない」という意味で使われていました。これは、OEDによれば北方起源で、おそらくスカンジナビア語系のもので、古ノルド語の slettr(滑らか、艶のある)や、原始ゲルマン語の *slikhtaz(滑りやすい、平らな、平坦な、素朴な)の影響を受けていると考えられています。古サクソン語の slicht、古フリジア語の sliucht、低地ドイツ語の slicht(滑らか、平坦で素朴)、古英語の -sliht(平坦な)なども同系統です。例えば、eorðslihtes(地面と平坦な)という表現があります。古フリジア語の sliucht(滑らかでわずかな)、中世オランダ語の sleht(平らで素朴)、古高ドイツ語の sleht、ゴート語の slaihts(滑らかな)も同じルーツです。おそらく、印欧語根の *sleig-(滑らかにする、滑る、ぬかるむ)から派生した形が関係しており、さらに *(s)lei-(ぬかるみ、粘土状の)から来ていると考えられています(slime(名詞)や slick(動詞)と比較)。
この言葉の元々の意味は現在ではほとんど使われていません。おそらく「滑らか」という意味から始まり(1300年頃)、次第に「スリムで細い、軽やかな質感」といった意味へと変化し、最終的には「良くない、強くない、実体のない、つまらない、劣った、重要でない」といった否定的なニュアンス(14世紀初頭)を持つようになりました。「量が少ない」といった意味は1520年代からです。
ドイツ語の同義語 schlecht(悪い、卑しい、品のない)は、もともと「滑らかで素朴、単純」といった意味から進化しましたが、悪い意味への変化とともに、元の意味は schlicht(滑らかにする、平らにするの schlichten から派生した言葉)に置き換えられました。これは schlecht の古い意味からの派生です [Klein]。英語の slight も同様の変化を辿り、15世紀から17世紀にかけて人を指す際には「謙虚で卑しい、価値が低い」といった意味でも使われました。