15世紀初頭に、sinistreという言葉が使われ始めました。これは「悪意や憎しみによって促される、偽りの、不誠実な、誤解を招く意図を持つ」という意味で、suggestionやreportなどの言葉と共に使われました。この言葉は古フランス語のsenestreやsinistreに由来し、意味は「反対の、偽りの、不利な、左側の(14世紀頃)」でした。さらに遡ると、ラテン語のsinister(左、左側に位置する、dexterの対義語)から来ており、その語源ははっきりしません。
この言葉は「遅い手や弱い手」を意味していたのかもしれません(Tuckerの説)。しかし、KleinとBuckは、これは言葉の婉曲表現であり(詳細はleft (adj.)を参照)、サンスクリット語のsaniyan(「より有用な、より有利な」)に関連している可能性があると考えています。比較の接尾辞-terを使った例としては、dexter(dexterityを参照)があります。この解釈は根拠が薄く、言葉の意味が十分に特定されていないため、まだ仮説に過ぎないとde Vaanは指摘しています。
ラテン語では、占いにおいて「不運な、好ましくない」という意味で使われていました。特に、左側に見える兆候(鳥の飛行など)は不吉なものとされ、それがsinisterに「有害な、不運な、逆境にある」という意味を与えることになりました。この考え方はギリシャの影響を受けており、古代ギリシャでは北を向いて占いを行っていたため、左が不吉と考えられたのです。しかし、実際のローマの占い師は南を向き、左は好意的とされていました。そのため、ラテン語のsinisterは「好意的な、吉兆の、幸運な、ラッキーな」という二次的な意味も保持していました。
人を指して「欺瞞的な、裏切り者の」という意味で使われるようになったのは15世紀後半からです。古典的な意味での「左(右の対義語)、左側に位置する」という解釈は、約1500年頃から英語で確認されています。紋章学(1560年代から)では、sinisterは「左、左側に位置する」という意味を持ちます。この言葉に関連する語としては、Sinisterly; sinisternessがあります。
Bend sinister(bar sinisterではない)は、紋章学において「非嫡出子」を示し、「左側からの、または左側に位置する」という本来の意味を保持しています。ただし、紋章学ではこの左側は、盾を持つ人の視点から見たものであり、観察者の視点ではないことに注意が必要です(詳細はbend (n.2)を参照)。