中英語の streng は古英語の streng に由来し、「線、細い紐、太い糸」を意味します。また、ロープや弓・ハープの弦も指し、特に弦は張られることで音を生み出します。複数形では「器具、装備」を意味し、さらに「系統、血統」といった意味も持ちます。これは原始ゲルマン語の *strangiz にさかのぼり(古ノルド語の strengr、デンマーク語の streng、中オランダ語の strenge、オランダ語の streng、古高ドイツ語の strang、ドイツ語の Strang も同源)、この語は *strang-(「張った、硬い」)から派生したと考えられています。さらにその語源は印欧語根 *strenk-(「きつい、狭い」)にたどり着くとされます。
この意味は中英語初期に次第に小さな rope(ロープ)を指すように制限され、15世紀後半には「物が列に並ぶ、または糸に通されること」を表すようになりました。1710年には「成功や災害などの連続した出来事、継続する一連のもの」という意味も記録されています。
古英語では「靭帯、腱」を意味していましたが、この用法は hamstring(腱を切ること、特に後ろ脚の腱を切ること)や heart-strings(心の絆、情緒的な結びつき)などに残っています。
pull strings(陰で操る、物事を操る)は1860年に登場し、操り人形劇からの比喩とされています。
「制限、条件」という意味は1888年のアメリカ英語で見られ、政治的な文脈で使われました。これは当時流行していたエイプリルフールのいたずら、すなわち誰かが落としたように見せかけた財布を、隠れた糸で引っ張って拾おうとした人を欺くというものから来たとも言われています。ここから派生した表現が no strings attached(条件なし、自由な関係)で、1951年までに使われましたが、操り人形の糸を連想させるため、混同されることもあります。
First string, second string, などのスポーツ用語は1863年に見られ、弓矢の使い手が予備の弦を持っていることに由来するとされています。また、have two strings to one's bow(2つの手段を持つ、別の選択肢を持つ)は1540年代には英語で使われていました。
Strings(弦楽器)は14世紀半ばから記録されており、string-band(弦楽器のバンド)は1889年のアメリカ英語で見られます。String bean(いんげん豆)は1759年に登場し、その繊維質の糸のような部分から名付けられたと考えられています。また、string bikini(ストリングビキニ)は1974年に登場し、生地を支える細い紐を指して名付けられました。