「長く細い掘り抜かれた溝」という意味で使われるようになったのは15世紀後半(キャクストン)。これは古フランス語の trenche(「切り片、切り傷、切る行為、防御用の溝」13世紀、現代フランス語では tranche)から来ていて、さらに遡ると trenchier(「切る、彫る、スライスする」)に由来し、俗ラテン語の *trincare(ラテン語の truncare「切断する、 mutilateする、切り取る」)から派生したと考えられています。このラテン語は truncus(「切断された、 mutilateされた」、名詞としては「木の幹、体の幹」を意味する)に関連しています。この単語の起源ははっきりしていませんが、デ・ヴァーンによれば、形容詞の形が名詞よりも古く、「切断された、 mutilateされた、元の部分が欠けている」という意味で使われていた可能性があります。
中英語では14世紀後半に「森を切り抜けた小道」という意味で使われていました。海洋学では1936年までに「海底の細長いチャネル」を指すようになりました。
1500年頃からは軍事用の深い溝を指すようになり、1580年代には trenches(溝)という言葉には、前方に築かれた土手や堤防も含まれるようになりました。
Trench warfare(塹壕戦)は、第一次世界大戦の西部戦線での静的な戦闘スタイルを象徴するもので、1914年10月にはイギリスの新聞にその言葉が登場しました。このため、trench-coat(塹壕でイギリス軍の将校が着用していた防水コート、1915年1月に販売広告が出される)、trench-fever(1914年11月)、trench-foot(1915年)、trench-mortar(1915年)などの関連語が生まれました。