12世紀後半、「神の無償の恵み、愛、助け」という意味で使われるようになりました。これは古フランス語のgrace(「赦し、神の恵み、慈悲、好意、感謝、優雅さ、徳」)から来ており、現代フランス語ではgrâceと表記されます。さらに遡ると、ラテン語のgratia(「好意、尊敬、感謝、喜ばしい性質、善意、感謝の気持ち」)が語源で、これはイタリア語のgraziaやスペイン語のgraciaのもとにもなっています。また、教会ではギリシャ語のkharisma(「神の恵み」)を翻訳する際にも使われました。ラテン語のgratus(「喜ばしい、好意的な」)が語源で、これはPIE語根*gwere-(2)「好意を持つ」から派生した形だと考えられています。
「徳」という意味は14世紀初めに確認され、「形や動きの美しさ、心地よい性質」という意味は14世紀中頃に現れました。古典的な意味では、「美と魅力を授ける三姉妹の女神たち」(ラテン語でGratiæ、ギリシャ語でKharites)の一人を指し、英語では1579年にスペンサーによって使われました。
音楽の分野では、メロディやハーモニーに必須ではない装飾音を指し、1650年代から使われています。また、食事の前後に唱えられる短い祈り(13世紀初めから;16世紀までは通常gracesと呼ばれていました)を指すことから、「感謝の気持ち」を表す意味も持っています。名誉の称号として使われるようになったのは1500年頃です。