中英語の toth は「人間や動物の歯」を意味し、古英語の toð(複数形は teð)に由来します。これは原始ゲルマン語の *tanthu-(古サクソン語、デンマーク語、スウェーデン語、オランダ語の tand、古ノルド語の tönn、古フリジア語の toth、古高ドイツ語の zand、ドイツ語の Zahn、ゴート語の tunþus も同源)から来ており、さらに遡ると印欧語族の語根 *dent-(「歯」を意味する)にたどり着きます。
複数形の teeth は i-mutation(母音交替)の一例です。古英語や古フリジア語、古サクソン語では、摩擦音の前で -n- が失われるのが一般的で、例えば goose(ガチョウ)、five(五)、mouth(口)などが挙げられます。また、thought(思考)は think(考える)の語幹から、couth(知識のある)は can(できる)の語幹から、us(私たち)は *uns(私たち)から派生しています。
「食欲や身体的欲求」を表す用法は14世紀後半から見られ(例:colt's tooth(子馬の歯)、sweet tooth(甘党)、dry tooth(渇き)、toothsome(美味しい)など)、この比喩的な使い方は palate(味覚)にも見られます。また、歯のような形状を持つもの(鋸や櫛など)を指す用法は14世紀後半からです。
Tooth and nail(歯と爪で、必死に戦う)は14世紀初頭から見られ(例:nayles and teþ)、armed to the teeth(隙間なく武装している)は1300年頃から使われています。また、tooth-fairy(歯の妖精)は1964年から確認されています。