「何かを望む」「何かが起こることを望む」という意味で使われる「will」は、中英語のwillenから来ており、さらに遡ると古英語の*willanやwyllanに繋がります。これらは「願う」「望む」「快く思う」「慣れている」「今まさに~するところだ」といった意味を持ち、過去形はwoldeです。語源をたどると、原始ゲルマン語の*willjanに辿り着き、ウォトキンスによる再構築では、印欧語根の*wel-(2)「望む」「意志を持つ」に由来するとされています。
「will」が未来を表す助動詞としての役割を果たすようになったのは古英語の時代で、意図や意志を強調する点がshall(義務や必要性を表す)との違いとなっています。
短縮形は特に代名詞の後に現れるようになり、16世紀にはsheele(「彼女は~するだろう」)のように使われるようになりました。初期の段階では発音を保つために-ileが用いられることもありました。撥音記号(アポストロフィ)を用いた形式('ll)が登場するのは17世紀からです。
ゲルマン語族における同義語には、古サクソン語のwillian、古ノルウェー語のvilja、古フリジア語のwilla、オランダ語のwillen、古高ドイツ語のwellan、現代ドイツ語のwollen、ゴート語のwiljan(「意志を持つ」「願う」「望む」)、ゴート語のwaljan(「選ぶ」)などがあります。
印欧語根*wel-(2)「願う」「望む」は、ウォトキンスによるとサンスクリット語のvrnoti(「選ぶ」「好む」)、varyah(「選ばれるべき」「優れた」)、varanam(「選択すること」)、アヴェスター語のverenav-(「願う」「選ぶ」)、古代ギリシャ語のelpis(「希望」)、ラテン語のvolo、velle(「願う」「意志を持つ」「望む」)、古教会スラヴ語のvoljo、voliti(「意志を持つ」)、veljo、veleti(「命じる」)、リトアニア語のvelyti(「望む」「好む」)、pa-velmi(「私は~するつもりだ」)、viliuos(「私は希望する」)、ウェールズ語のgwell(「より良い」)などの再構築された源流としても見られます。
古英語のwel(「良い」「望む通りに」)やwela(「幸福」「富」)とも関連が見られます。